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栄養士が語る「おいしい」の育て方・第4回 おいしい給食のために欠かせないものとは?

こどもたちの体を作る根源である「食べ物」。
日々、たくさんのこどもたちの「おいしい!」の声を生み出す
食のプロはなにを考え、どんな思いで給食をつくっているのか……。

こども施設の給食に関わる発注業務の省力化と食育の推進を目指し、
連携することになったオイシックス・ラ・大地さんとコドモン。
こども施設の<給食室>で働いていたという共通点がある両社の栄養士ふたりに
話を聞いてみました。

オイシックス・ラ・大地株式会社の加月香奈美さん(以下、敬称略)と
コドモンの給食管理機能担当の森山綺佳。

「食」を通してこどもたちに伝えたい給食室の思いとは……?

 

時間と手間をかけるべきところは事務作業じゃない

  
森山
あまり知られていないようなんですが、栄養士には献立づくりや調理以外にも細かな業務がたくさんあって時間に余裕はないんですよね。
保育士さんも当然余裕なんてない。そんななかでの「連携」をとるための時間をつくっていく必要があるわけですから、どちらも省力化できるところはしていくべきだと私は思っています。

加月
そもそも事務作業をする時間はじゅうぶんにないのに、事務作業はめちゃくちゃ時間がかかるという状態なので、省力化できるところはしたほうがいいというのは私も賛成です。
献立もいちから立てるんじゃなくてほかのを参考にするとか……。

森山
サボるための省力化じゃなくて、時間や手をかけるべきところにかけられるようにする省力化ですよね。
全部自分で……となると、栄養価の計算からバランスからなにからなにまでキリがないから、自分がやらなくていい作業を削っていく感覚です。

加月
私はその分、調理に時間を割きたい、食育を行う時間に時間を割きたいって思いますね。
食育もツールなんかは手作りじゃなくていいと思います。
食育のツールを作ることに時間をかけるなら、そのぶん食育を行う時間にしたほうがいい。
献立にしてもそうです。お誕生日会とか特別な日の献立や調理には手をかけてあげたい。
自分の仕事を減らすことに罪悪感がある方もいると思うんですが、その分の時間をこどものために費やしてほしい。

森山
まさにそう! ずっとやっていた方法を変えることに抵抗があるとか、慣れるまでは難しいとかはあるかもしれませんが、慣れたら必ず余裕が生まれると思います。
ということで、ぜひ一度コドモンの【給食管理】を使ってみていだきたいです。
保育士さんと同じシステムなので連携もとりやすいです! 
実際に、コドモンの利用施設さまからも最初は大変だったけど、使いはじめて連携が強化、食育がすすんだ…といううれしいお声をちょうだいしています。 【活用事例はこちら】

加月
あ、うまいこと営業はいりましたね!(笑)
便乗させていただくと、Oisixをご利用いただくと、欠品や発注商品不明で自分で探しに行く時間と手間はなくせます!

――発注していた食材が届かないこともあるんですか?

森山
食材関係の欠品に関しては、発注ミスでも起きたりしますし……わりと日常茶飯事です。
なので、現場にいるとトラブルとも思っていないところはありますが……よくありましたね。

加月
調理中に落としちゃったなんてこともありますもんね。

森山
そうです、そうです。でもそのために多めに発注しておく…なんてことはできないし、あるものでなんとかやりくりして…。
保護者や保育士さんに伝えない程度の献立の変更は実はちょこちょこあります。
魚を落としちゃって分量が減ったぶん、味噌汁をトン汁にしたりとか……。
そういうとき用の冷凍肉を備えておいたり、タンパク質を高野豆腐で補ったり。

加月
施設によっては仕入れ先もすごく限られていて、たとえば八百屋さんに乾物や製菓用品も発注することがあります。ただ八百屋さんにしてみたら、製菓用品なんて……わからないじゃないですか。専門じゃないので。「探したけどわかんなかったよ~」って欠品に。

森山
私も「わからなかった」って言われたことあります~!!

加月
ただ八百屋さんは善意で探してきてくれているので……こっちも強く言えなくて、結局自分で買いに行って、数を揃えきれなかったり…。ほかにも天候不良で欠品したり。臨機応変さは身に付きますけど、これもやはり……時間と手間のかかる作業です。
Oisixをご利用いただけると、こうしたトラブルは確実に減らせると思います。

森山
Oisixさんの食材は、厳しい基準が満たされているという点での安心感もありますね。

栄養士として、絶対に省力化/省略できないことは……?

  
――最後になりますが、「おいしい給食をつくるために欠かせない」と考えているものはなにか教えてください。

森山
対象は子どもに限らないんですが、食べる人が苦手意識がなくなるような手間……特に下処理とかなんですけど、そこは欠かせないなと思って手をかけていました。
これだけはずっと芯を通してやってきたものだと言えます。

加月
気持ち的なことになるんですが、つくる人が「おいしい」「食べたい」と思うものをつくる……のと、献立を立てるときは旬を大事にする。旬の食材を入れることですね。

――なんだか「つくったひとが自分のこどもに食べさせたいと思えるもののみをお届け」というOisixの理念と重なりますね…!!

加月
意識していませんでしたが、そういわれてみればそうですね。
でも、Oisixに限らず、食べものに携わるひとはみんなそう思っているんじゃないでしょうか。
旬を大事に、そのときいちばんおいしいものを、いちばんおいしい形で提供したいって。
森山さんのおっしゃる「下処理を欠かさない」のも、そのためですよね。
仕事に限らず、ふだんご家庭で食事をつくられている方もそうだと思います。

――つくる側の人が「おいしい」「食べたい」という気持ちを大切にすることが、こどもたちの「おいしい」「食べたい」という気持ちを育てていく……。
対談のはじめのほうで、保育者が食べてこどもに「わ~おいしい!」って自分の感じ方を伝えることが食育になるというお話しが出ましたが、「ごはんを食べるってことを楽しいと感じられること」はこうしてこどもたちに伝わり、大人になってまたこどもに伝えて……と続いていくものなんだと感じました。
そしてまた、こうして下の世代に伝えていけるようになることは、人間的な成長ともリンクしていますね。

栄養士が「食」を通じてこどもたちに届けようとしている思い――
こども施設で「食」に携わっているみなさまおひとりおひとりが、それぞれの考えをお持ちのことと思います。
だれもが時間に余裕がないなか、この記事がこうしたことを話し合い、よりこどもたちの「おいしい」と「成長」につながるきっかけになることを願っています。

(完)

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ぜひ下記のアンケートからご意見・ご感想をお寄せください。

アンケートはこちら
※来週以降、アンケート結果をもとにした記事を公開予定です。


<プロフィール>
加月香奈美さん
オイシックス・ラ・大地株式会社 店舗外販事業部施設食材流通セクション
栄養士として保育園に5年半勤務。

森山綺佳
コドモン カスタマーサクセス 活用支援チーム 
管理栄養士として、保育園や病院、老人ホームの給食業務に従事。


<バックナンバー>
第1回 「食育のゴールはどこにあるの?」
第2回 「食べられないことは悪ではない」
第3回 「園での食事を通して、たくさんの「おいしい」を知ってほしい」