園児の人数に対して、何人の保育士が必要か、というルールを定めた「配置基準」。令和6年度の3・4・5歳児の配置基準の改正に続き、令和7年度には、1歳児の配置改善にむけて、新たな政策が決まりました。
この記事では、最新の配置基準と加算措置について、わかりやすく解説していきます。
保育施設を運営するための職員の最低人数を法令で定めたものが配置基準です。最低職員数は園児の人数によって決まります。
この基準を守らないと施設の運営ができなくなることもあります。
・「保育士の数が足りない」という現場の声
・不適切保育の防止
・保育の質の向上
これらを解決するために配置基準の見直しがされてきています。
保育士を増やすには人件費などの費用が追加でかかります。配置基準を満たすためであれば補助金が出ますが、基準以上に保育士を配置するための費用には補助金が出ません。そのため、現場が「手が足りない」と思っても、配置基準以上に人を増やすのは難しい状況です。
国の基準が変わればそのぶん補助金が追加されるようになります。配置基準を変えることで、より保育士を増やしやすい環境をつくっていくことができるのです。
急な変更は施設にとっても負担になりますので、これまで国は配置基準改善に向けて、徐々に変更を繰り返してきました。
主に、経過措置※や、加算※を設けることで施設への負担を減らしながら、基準の見直しを進めています。
ここでは、特に令和5年度の「こども未来戦略」策定以降の配置基準の改善に関して、時系列で解説していきます。
※経過措置とは?
職員の確保が難しく、すぐに新しい基準に対応できない施設のために、しばらくは今までの基準でも運営できるようにする猶予期間のこと。
※加算とは?
条件を満たした施設に対して、必要な費用などを上乗せして給付すること。
少子化対策として子育てにまつわるさまざまな課題に対応することを目的としており、このなかで、より質の高い保育を提供できるように、4・5歳児の配置基準を令和6年度に改善すること、1歳児は令和7年度以降に改善を進めることが決まりました。
3歳児の配置基準 園児20人:職員1人 → 園児15人:職員1人
4・5歳児の配置基準 園児30人:職員1人 → 園児25人:職員1人
に変更となりました。
いずれも経過措置・加算措置が設けられています。
今のところ経過措置の期間は決まっていません。加算の条件は新しい基準どおり(もしくはそれ以上)に職員が配置されていることです。
1歳児の配置基準はそのまま、配置改善の加算が新設されます。
今回の改正では、1歳児の配置基準は「園児6人:職員1人」のまま変更ありませんが、「園児5人:職員1人以上」に改善している施設に、新たに加算が設けられることになりました。
配置基準の改正ではなく、加算措置となった理由としては、「保育士不足により人材の確保が難しいこと」が挙げられます。
加算を受けるための条件は?
1歳児の加算を受けるためには、下記4つの条件をすべて満たす必要があります。3・4・5歳児の加算と比較して、少しハードルが高いですね。
(1)1歳児の職員配置を、「園児5人:職員1人以上」に改善している
(2)処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのすべてを取得している
(3)ICTシステムの活用を進めている(条件あり)
(4)職員の平均経験年数が10年以上
「(3)ICTシステムの活用を進めている」には細かい条件があります。
下図の通り、「登降園管理」に加えて、指定の3機能(「計画・記録」「保護者連絡」「キャッシュレス決済」)から1つ以上、合計2つ以上の機能を活用している必要があります。
コドモンの上記機能についての詳細は、以下のリンクからご確認ください。
登降園管理 https://www.codmon.com/service/reco
計画・記録 https://www.codmon.com/service/docs/
保護者連絡 https://www.codmon.com/service/contacts/
キャッシュレス決済 https://www.codmon.com/service/billing/
これまでの配置基準の改善や国の発表から、1歳児の配置基準もまずは加算から始めて、徐々に改善を進めていく方針だと考えられます。
1歳児配置改善加算のハードルは現状高く、対象となる施設も多いとは言えません。しかし、来年度から処遇改善等加算が一本化される見通しであることや、保育ICTシステムの導入が全国で進んでいることから、少しずつ加算を受けられる施設は増えていくでしょう。
すでに1歳児保育士配置の改善に取り組まれている施設のみなさまは、ぜひこの制度をご確認ください。ICTシステムの機能についてわからないところや活用についての不安がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
参考:
令和7年度保育関係予算案関連資料/こども家庭庁
「こども未来戦略」/内閣官房
公定価格に関するFAQ/こども家庭庁
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