さくら中央保育園 (定員数80名 /東京都大田区)
施設種別 認可保育園
サービス 登降園管理請求管理口座振替代行保護者連絡帳票作成写真共有・販売
成果 保護者からの評判UP先生の残業削減手書き業務の削減電話対応業務の削減保育・教育の質向上先生間のコミュニケーション改善
この事例の要約
2018年4月よりコドモンをご活用いただいているさくら中央保育園さま。導入の旗振り役を担ってくださった主任保育士の須藤さまと、コドモンとの窓口を担当されている運営法人の職員麦島さまに、ICT導入の経緯や定着にいたるまでについてお話を伺いました。
登降園管理から活用を開始し、現在では請求管理や帳票作成、ドキュメンテーションなど多くの機能をご活用いただいています。職員へのICT導入の動機付けや声掛けなど、園内での定着と活用を促す工夫が満載です。
須藤さま:法人としてこども園となる分園もあり、それに伴い業務負担が増える事もあり省力化できないかと話が浮上していました。丁度そのタイミングで監査での登降園管理に指摘を受けたのがきっかけで、ICTの導入を検討しはじめました。
それまで、各家庭の登降園の時間は紙で管理していましたが、実際に登園した時間と降園した時間を記録しているものがなく、実態を証明できるものがありませんでした。当園だけでなく、同じ法人内の別の園でも監査で同様の指摘を受けたため、きちんと管理できるシステムを入れようと検討したのがきっかけです。
また、その他にも指導案や日誌など大量の手書き書類の作成とその直し業務の多さ、写真販売の煩雑さ、3園の請求を一人が管理するなど業務量は膨大で、持ち帰りの仕事をせざるを得ない状況や若い職員の離職が続き、根本的な改善が必要だと感じていました。
その中でコドモンさんの話を聞き、監査対応の実績がある、充実した機能の中から必要なものを選択して少しずつ使っていける、自分たちのやり方に合わせたカスタマイズができるという点に魅力を感じて導入を決めました。
最初は、監査の懸念をクリアにすべく登降園管理の機能から利用をはじめました。コドモンを導入するまでは、延長保育の時間管理もクラスにある時計だけで判断していて曖昧でした。保護者から特に大きなクレームを受けたことはありませんでしたが、このままではいけないという思いもあり、管理を簡略化しかつ正確性を高めたいと思っていました。
須藤さま:急なICTの導入は保護者も困惑すると思い、丁寧に説明して導入の意図を理解してもらうように心がけました。登降園管理は年度の途中から使い始めていましたが、3月中旬に行っている保育説明会の中であらためてコドモンを活用して登降園の時間管理をしていくことを保護者全体に周知し、その後の個別の面談でも理解を得られるよう説明の時間を設けました。
全体への周知の際は、園としてお子さんの保育時間を管理する義務があるため、協力してもらいたいという趣旨の説明をしました。
個別面談では、前年度から保育時間の変更がないかなどを確認した上で、保育園を利用するにあたっての約束や注意事項を、自治体からの通知と照らし合わせながら一緒に確認してもらい、正確な保育時間を管理することへの理解と協力を仰ぎました。保育園側の都合で勝手に保育時間を管理していると保護者に捉えられてしまってはスムーズな導入ができないと思い、なぜそうするのかを説明して納得してもらえるように注意を払い、そしてその登降園管理はコドモンというアプリを使用するので協力してほしいと順を追って説明し、新年度を迎えました。実際にコドモンでの登降園管理が始まってからは、保護者からの反発や不安の声を一切いただくことなくスムーズに利用できています。
当園では、朝と夕方は必ず玄関に入った時に保護者に打刻してもらうようにしています。玄関を入ってすぐの場所にiPadを2台置いており、朝は打刻してからお子さんを部屋に送ってもらい、帰りも同様にコドモンで打刻をしてから、クラスに迎えに行ってもらうという流れにしているため、玄関の混雑や運用の煩雑さを避けられていると思います。
須藤さま:職員から後ろ向きな意見はなく、「あ、そうなんですね」とあっさりしていた印象です。登降園の情報がデータ化されることで、紙ベースで管理していた手間がなくなることに加えて、保育時間の管理に対する保育士の意識も強くなりました。曖昧な管理がなくなって自分たちの負担が減ることが大前提にあり、さらに各家庭の保育時間の把握がしやすくなったため、職員もポジティブに捉えていたと思います。コドモンで登降園管理を始めたことで、保護者が届け出している保育時間と実際の登降園時間が可視化でき、負担なく監査対応ができるようになった点も大変ありがたく思っています。
麦島さま:請求管理を自動化して一番助かっているのは、延長保育の料金計算です。延長保育を利用するお子さんは10人ほどいるのですが、手作業で計算すると、一人あたり少なくとも5分、頻繁に延長保育を利用するご家庭だと15分程度かかっています。それがコドモンではすべて自動計算なので、一瞬で完了します。あとはそれが間違ってないか、特別な事情がないかだけ目視で確認していますが、1分もかかりません。
月極めで延長保育の契約をしている園児もいますが、昨今の新型コロナの影響を鑑みて、スポットで計算したほうがよさそうなご家庭について、先日久しぶりに手作業で計算をやってみたんです。そうしたらものすごく大変で。やっぱりコドモンで自動計算をすると、正確だしすごく楽だなというのをあらためて感じています。
麦島さま:それまでは延長保育の利用料や園で購入したオムツの費用については、手渡しでの現金回収をお願いしていました。お釣りが出ないようにお持ちいただくようお願いしていたので保護者は準備の手間もあったと思いますし、職員にとっても現金の受け取りは負担でもありました。
そのため、口座振替ができるようになった時には保護者からもありがたいとお声をいただきましたが、一方で、登録に対する作業負担があるためなかなか登録が完了しないご家庭もありました。そういう場合には、降園時に口頭でもお伝えするなどして協力してもらえるように促しました。
毎年当園に入園するのは15家庭ほどありますが、転園で入園する保護者の中には「前の園でもコドモンを使っていました」という方も最近増えてきています。
須藤さま:月案については、コドモンのフォーマットと法人内で統一しているフォーマットを見比べて検討した結果、現在はもともと使っていた法人のフォーマットをベースにして作成しています。当園では幼児の縦割り保育をしていることもあり、クラス担任をしている職員が入力しやすいほうを優先しました。
以前は、一つのパソコンで誰かがデータを触っていると同時に他の人が入力や更新をすることができませんでしたが、コドモンで月案を作成することで、誰でもいつでもどこでも、同時に更新できるのでとても便利です。先輩保育士と新人保育士が一緒にパソコン操作をする姿も見かけるようになりました。
また新人教育の面では、コドモンの例文をうまく活用できています。以前の月案作成では、「自分で参考書を調べて作成してね」と伝えたり、「去年のデータを見てやってね」と新人に指導をしていましたが、なかなかそうした時間を作ることも難しく思うようにはいきませんでした。また昨年のデータを参考にしても、その年の子どもたちによって発達や状況も違うので、そのまま使うというわけにもいきません。そこで、今の子どもたちの特徴を見た上でコドモンの月案の例文と照らし合わせ、「この時期に適しているかな」「この時期にこの例文が当てはまるんだな」という見方をすることで、気付きや学びに繋がっていることを実感しています。
最初は、例文を使うことで気付きがなくなってしまったり、自分で調べるという習慣がなくなってしまうのではないかという話も出ていましたが、今の新人教育という面では、先に示すものがあり、後で先輩保育士が「これはこういう理由で書いてあるんだよ」と意味づけをしていったほうが勉強になるのだと感じています。例文を活用しながらやっていくうちにだんだんと「こういう文章をいれたいな」「こうしたほうがいいな」という自分の考えが生まれ、より発展性を感じています。
それから、月案については以前は毎月作成していましたが、今は2ヵ月に1回の作成にしています。例えば、4・5月を同じ内容、同じねらいにして中身を少しだけ変えるといった具合いです。2ヵ月を見通した月案の内容にしたこと、コドモンを活用して業務の省力化ができたことで、残業時間はほぼなくなりました。以前は、月案作成の担当になると「やらなきゃな」という思いで遅くまで残ってパソコンに向かっていましたが、現在は担当クラスのチームで、日々の業務の中で月案をつくっているという実感があります。ICTの導入で職員同士の会話が減るのではという心配もありましたが、実際にはみんなで情報を打ち込むことができるようになったためクラスの職員で話をする機会が増え、コミュニケーションは強化されたと感じています。
須藤さま:日誌は今まで本部から指示があったフォーマットを使っていましたが、新型コロナの影響を受けてからはドキュメンテーションの機能を活用しています。子どもたちの日中の様子を写真で入れられるページがあり、保護者に配信をはじめたところ、子どもの様子が見やすくわかりやすいと喜んでいただけたので、引き続き活用していきたいと思っています。また、特別な配慮が必要な子については個別日誌を活用するなど、徐々に職員たちも自発的にコドモンを活用するようになっています。
麦島さま:運用の定着に向けては、昨年一年デジタルシフトチームをつくってICTの活用を推進した点は特徴かもしれません。職員26人のうち10人がこのチームに参加し、興味を持って積極的にコドモンを触ってくれるメンバーが多かった点も上げられると思います。
また、主任の須藤から他のメンバーへ、「こういう機能を調べてみて」といった声掛けもあり、メンバーが自発的に機能について調べることが多かったように思います。それもあって、私は本部でコドモンの担当をしていますが、さくら中央保育園の職員からはコドモンについての質問を受けていません。宿題としてメンバーが主体的に調べることで、アプリ画面を自分たちで見てやってみるという習慣がつき、コドモンに対する理解や操作スキルが上がっていく結果になったと思います。
デジタルシフトチームの具体的な動きとしては、例えば発達経過記録の見直しは○○さんと△△さんが担当してねといったように機能ごとに担当をつけ、担当した人が自分たちでここを変えたい、こういうフォーマットが欲しいという要望をまとめてくるという進め方で、月に1回会議の場を設けていました。今では、昨年デジタルシフトチームに参加していなかった職員もだんだん改善を提案するようになってきました。
須藤さま:最初は、園長や主任である私が「こういうことをやっていこう」という投げかけをしていましたが、デジタルシフトの会議を月に1回、1年を通してやっていくことで、だんだんと職員たちが「そういうやり方でいいんだ」「これも省力化していいんだ」という感覚になっていき、今は私よりも若い職員のほうがコドモンに詳しいくらいです。自分たちでコドモンを使っていくうちに、もっとこうしたいというような要望も自然に出てくるようになり、それならやってみようと前向きに取り入れて、声を上げやすい雰囲気づくりもしています。
コドモンを導入したばかりの頃、園長や私の主導で「コドモンを使って業務を省力化していこう」と話した時、職員の反応は「はぁ、そうなんですね」と受け身に捉えている印象でしたが、ICTの活用をしていくことでもっと保育の時間が確保できるんだよとか、子どもたちと近いところで仕事ができるようになるんだよ、という動機付けは意識しました。業務に追われて一日が終わる、一年が終わる、というのは変えよう。子どもたちと一緒に長く充実した時間を過ごすために、省力化できるところをとことん省力化していこう、という方向づけをしました。
その業務省力化の一つとして、思い切って昨年から手作りの卒園アルバムの作成をやめました。毎年手作りを続けてきて、それを嬉しいと言ってくれる保護者もいたので、やめることを伝える際は保護者の反応が怖く、とても不安でした。でもいざ実際に伝えてみると、「そうなんですね、先生たち大変そうでしたもんね」と意外にもあっさりしていて拍子抜けしました。園長の思い切った発言と保護者の反応を見た職員たちは、「そうなんだ、そんな風にやっていいんだ」と肩の力が抜ける空気がありました。そうしたことがきっかけで、今ではコドモンを使ってこんな風にやりたいと若い職員から意見が上がってくることも多いです。
須藤さま:例えばコドモンの操作や機能の使い方の質問を職員から受けても、私がどうにかしなければ!という意識はあまりありません。「一回マニュアルを見てみようよ」と返すことで職員は自分で調べる癖がつきますし、私が口で説明するよりも、コドモンのマニュアルに書かれているのを見たほうがわかりやすいことも多いです。
職員からの質問に私がピンときていなくても、若い職員はマニュアルを見ただけで「なんだそういうことか」とすぐに解決できているケースもありますので、一緒に解決していこうという姿勢でいたのも結果的によかったのかもしれません。もちろん職員を突き放すことはしませんが、パソコン関係に強い職員もいますので、そういうケースはお任せしたほうが定着も早いと思います。
コドモンのマニュアルは保育士向けにわかりやすくなっているので、マニュアルの場所さえわかればむしろ私には質問はほとんど来ません。自分たちでやっているという感覚が大きいのだと思います。「これを入力したらここに繋がるのか」という発見と理解が他のクラスに広がって、それを見つけた、考えた保育士にとってはみんなのために役に立った、いい影響を与えたという感覚が本人のモチベーションにも影響していきますし、見えない部分での意識改革にも繋がっている気がします。
須藤さま:上から言われたことをやらされている感覚になってしまってはうまくいかないと思うので、まずは園として、保育士として、どうしていきたいかの意見を引き出すといいと思います。それぞれの業務についても、それをやることによってどういう利益がでるのか、自分たちがどういう保育をしていきたいかの目標を整理し、それを実現するためにいらないこと、省力化できることを考えていくとICT活用で実現したいことが明確になると思います。
麦島さま:業務をいかに省力化するかを考えることも大切ですが、省力化を無理強いしないことも大切です。一つ改善できたらもう一つと、決して急がず、少しずつ進めていくとより定着しやすいと思っています。