株式会社アワーズ(アドベンチャーワールド)キラボシ保育園 (定員数24名 /和歌山県西牟婁郡)
施設種別 認可外保育園
サービス 保育研修基礎研修(自学自習)
成果 保育・教育の質向上
この事例の要約
約120種約1,600頭の動物たちが暮らすテーマパーク『アドベンチャーワールド』を運営する株式会社アワーズ(大阪府松原市)の企業内保育園「キラボシ」(所在地は和歌山県白浜町 以下、キラボシ)。スタッフが自ら研修を受けることが習慣化し、学びの意欲が高まっていると実感しているそうです。自学自習モードをどのように活用しているのか、活用したことでどのような効果があったのかについて、チームリーダーの鬼澤先生にお伺いしました。
キラボシは2018年4月に開園し、今年の春に6周年を迎えました。5年目となる2022年頃から利用者が増加傾向にあり、持続的な保育園運営と独創的な価値の創造を行うために、また、選ばれる園づくりのために保育理念や体制のアップデートを検討し始めました。
アップデートするために必要な保育園運営や、保育の質の知識を学ばなければいけないと考えていた時期に、コドモンカレッジの「園長先生カンファレンス*」を受講しました。「園長先生カンファレンス」はとても充実した内容で、他の研修も受講してみようと考え、これがコドモンカレッジを使い始めるきっかけになりました。
*園長・施設長業務に特化した学びのイベント
これまでは月1回のスタッフミーティングの中で複数人で研修を受講していたのですが、研修の視聴に1時間、視聴後のディスカッションで1時間、トータルで2時間かかることもありました。スタッフから「また研修か…」という声が聞こえてきたこともあり、「私主導で行うこの研修のスタイルは学びを強制することになっているのではないか」という気持ちがありました。
研修受講時間をつくれないときは、私が研修を受けて、内容をスタッフに共有していました。ただ、この形式だと私自身の負担も大きく、研修の内容を伝えるだけの伝言ゲームになっていたり、インプットする内容に差が生まれたりという課題があったので、一人ひとりが受講するほうが研修の目的としてもいいのではと感じていました。
スタッフが学びを自分のものにするためには、自分から前のめりに学ぶことが大切です。研修の受け方について、このままではいけないと考えていたときに自学自習モードの案内を見て、自分のペースで、しかも5~10分の短時間で学べるというところが、私自身の抱えている課題感を解決できるものかもしれないと思い、導入しました。
自学自習モード導入時にスタッフには「5〜10分で保育に必要な知識が学べる」と説明しました。
1〜2時間かけて学ぶより気軽と感じたようで、スムーズに導入することができました。
これまでスタッフミーティングで定期的に研修の内容を共有していたところから、一人ひとりに学ぶタイミングとスピードを委ねる方法に変えたので、きちんと一人ひとりが自分事として学びを進めてくれるのかという点に不安がありました。受講にあたってのタイムマネジメントもそれぞれに任せたため、時間の確保につとめてもらえるのかは、特に不安が大きかったところです。
しかし、実際に活用してみると、積極的に学ぶスタッフが多く、そういう姿勢を見て「私も受けてみようかな」と、プラスの影響がどんどん広がっていきました。現在では全員で支え合って受講していることにとても感動しています。
導入から1カ月が経った頃、「新しい研修に不安を感じている」と言っていたスタッフと1on1(もしくは話を聞くと)を行うと、「10分以内の研修で、テストもあり、気軽に学ぶことができるのでとても満足している」と話し、不安はすっかり解消されていました。
自学自習モードでは受講状況が確認できるため、キラボシのスタッフ全員で進捗を共有しあうことで活用を後押ししています。
1〜2週間に1回程度、全体に共有し、進捗がすこし遅いスタッフがいれば、受講時間を確保できるように協力するなど、全員でフォローして時間をつくるようにしています。
個人の学びたいという意欲はもちろんですが、まわりの理解もないと研修は受けられません。全体に受講進捗をオープンにして、誰かが研修を受けている間はほかの誰かが現場を守る、一人ひとりがフォローを行いながら全員の学びの質を高められるように支え合う環境をつくる工夫をしています。
自学自習モードでは、保育にとどまらず社会人としてのスキルを学ぶことができるカテゴリーも配信されているので、社会人としてもレベルアップするきっかけになっていると感じます。
一番の気づきはスタッフ全員で自学自習モードが習慣化されて、研修に対する抵抗感のようなものが感じられなくなったことです。
自学自習モードの一コマだけでは学び足りないという声も出ており、1時間以上の研修を受けるはじめの一歩になると感じています。
子どもの命を預かる保育園において、保育士に求められることは非常に幅広く、保育士の負担を減らすためにも、また保育士自身を守るためにも、一人ひとりが個々に学んで自信をつけられる環境をつくりたいと思っています。知識や行動の引き出しを増やすことは、「わからないからできない」「知らないから見ているだけ」から「自信をもって大好きな保育をする」に変わることにつながると思います。
自学自習モードによって結果的に保育以外の場面でも学びがあり、人間関係の構築に努めたり、コミュニケーションが増えることによって業務の効率性があがったり、一人ひとりが保育の質を高めていっているように感じます。
今後は個々で自学自習モードを活用しつつ、より充実した保育を実現できるようつとめていきたいと感じています。
日々保育の形は変わっていくので、子どもたちが遊びを通して学び続けていくように、保育士も学び続けていかなければいけないと思っています。これからも、スタッフの質向上が保育園の質向上に繋がることを信じて学び続けていきたいと思っています。