富士河口湖町 子育て支援課 町立勝山保育所 (山梨県)
施設種別 自治体・公立施設
成果 保護者からの評判UP事務の省力化先生の残業削減手書き業務の削減電話対応業務の削減保育・教育の質向上
この事例の要約
2020年1月にコドモンを導入し、現在8園の公立保育所でご活用いただいている富士河口湖町さま。子育て支援課の倉澤さまに、コドモンを導入いただいたきっかけやその後の活用状況、ICT活用の展望などについて伺いました。
倉澤さま:富士河口湖町内にある民営の園の運営者から、ICTの活用についてお話を伺ったのがコドモンを知ったきっかけです。普段その園の先生方がどのように業務をしているのかお話を聞かせてもらってコドモンを活用していることを知り、興味を持ちました。ちょうどその頃に、コドモンの担当者さんが導入にあたってこの地域を訪問されているというお話も伺ったので、その園を経由して繋げてもらったという経緯があります。
当初は公立保育所でのICT化を具体的に予定していたわけではありませんでしたが、コドモンの担当さんがすぐに来てくれて、自治体の実証実験としてコドモンの活用ができるという内容のチラシを渡してくれてすぐに検討を始めました。子育て支援課でも保育所で解決したい課題がありましたので、うまくICTを活用して解決できればと思いお話を伺い導入に至りました。
現在、富士河口湖町で運営している公立保育所は8園あり、そのうちの勝山保育所ではすでにコドモンの多くの機能を活用しています。他の7園については保護者連絡の機能のみ使用を開始して運用をしています。
倉澤さま:保護者への緊急連絡は従来の連絡網で運用しており、メール配信システムのようなツールさえも使用していませんでした。保護者に緊急で連絡を取らなくてはいけない時に連絡網が機能しないという事案が発生したこともあり、保護者への連絡手段については「大きな課題」を感じていました。
富士河口湖町の就業率は全国平均よりも高く、保育所の利用希望者が多い状況にあります。同時に保育士不足や保育士の業務量の多さも課題として挙げられていましたので、先生たちの事務作業を省力化して業務サイクルを変え、もっと園児の受け入れに余裕が持てるようになればいいとも思っていました。
倉澤さま:画面を一目見て、とても使いやすい印象を受けました。コドモンの導入を検討している時に他社からも別のICTシステムのご提案もいただいたのですが、毎日使うシステムであるということと、パソコン自体に不慣れな現場の保育士ができるだけ使いやすいものにしたいという想いがあり、見た目でわかりやすく、視覚的に操作しやすそうなコドモンに魅力を感じました。
コドモンをご案内いただいたのは年度の途中でしたので、使用を開始するのは難しいと思っていましたが、実証実験のプランにより導入しやすかったのが決め手でした。
通常このようなシステムの導入は次年度に予算をとるなど長期的な準備が必要なのですが、その行程を踏まずすぐに導入できたのは大きなメリットでした。
倉澤さま:最初から全部の機能を使わず、段階的に使える機能を増やしていく方法をとりました。それから、保育士の中でスマートフォンやパソコン操作に比較的強い先生方を「ICTリーダー」として選任しました。ICTリーダーから業務内容や工程のヒアリングを行い、「実際の保育所での事務作業」と「コドモンを使った場合」とを照らし合わせるなど、事前打ち合わせや勉強会を複数回行いました。
コドモンの機能を活用できるものはしていく、難しそうなものや時間がかかりそうなものは一旦据え置きにするということを話し合いの中で繰り返し検討していきました。運用が定着してきた現在でも行っていることです。ここで固まった内容は、それぞれの園でICTリーダーの先生がレクチャーする形で広めてもらっています。
導入初期にはコドモンの担当者さんに来てもらい全員が集まって研修するという機会も何回か設けました。こうして段階的に進めてきたことで、今はスムーズに運用できていると保育所からは伺っています。
倉澤さま:保護者連絡の機能は、コロナ対策で本当に役立っています。従来保護者へのお知らせや連絡のやりとりは全て紙ベースで行っていましたが、検温の記録を直接コドモンに入力したり、急なお知らせや連絡を一斉配信するなど非接触での管理ができています。
当初、アプリの登録をしてもらえていない保護者もいたのですが、ちょうどコロナの時期に差し掛かり、施設からの連絡や感染症対策をコドモンを使ってやっていきたいという話をしたところ、全ての保護者の方に登録いただくことができました。そこからは、連絡手段をコドモンに一本化でき利便性が格段にあがりました。現在もそのまま運用を続けています。
他にも、運動会や生活発表会の時にはアンケート機能を使って保護者の体温を回答いただいています。回収時に密を避けられる利点もあり、紙での配布、回収、集計もなく、結果だけをパソコンの画面で確認できれば紙で印刷する必要もないので大幅に作業を簡素化できました。
また、新型コロナ対策に限らず「コドモンならこういう使い方ができるかな」といった工夫は現場でも行っていて、わからないことがあればコドモンのサポートに電話するという流れができているので助かっています。
勝山保育所ではコドモンの導入に合わせてタブレット端末も導入しました。例えば園児が怪我をした時や蕁麻疹が発生した時にはタブレットのカメラで写真を保管して保護者に報告するなど、タブレット本体の機能もうまく組み合わせて業務ができているので、以前より大幅に負担が減ったと聞いています。全8園を2人の統括看護師で対応しているため、施設間でのやり取りもスピーディーに対応できているようです。
倉澤さま:園には電話回線が1回線しかないので以前は朝の電話対応が大変でしたが、現在は朝の時間帯も落ち着いているようです。保護者には、欠席や遅刻をする場合は「毎朝9時半までに必ずコドモンで連絡を」とお伝えしているので、「朝電話が鳴ることがなくなった」と先生たちからも嬉しい声を聞いています。
また、これまでは園児の登降園管理もすべて手書きでした。記録を残しておく必要があり集計も手作業で行っていましたが、コドモンではその手間が一切なくなりました。延長保育料も自動的に集計できるのでICT導入のメリットをとても感じています。勝山保育所ではすでに月案や週案の作成においてもコドモンを活用できていて、手書き業務はほとんどICT化できている状態です。
今までの業務工程が半分や三分の一の工数で終わるようになり、事務作業の省力化ができています。その空いた時間を、子どもと接するという「本来の保育業務」に専念できるようになったという声が徐々に大きくなってきました。決して楽をするためにICTを導入したわけではなく、今まで取り組めていなかったところにアプローチするために手間を省力化するという点を重視していますので、こうした積み重ねで保育の質の向上に繋がればと思っています。
倉澤さま:実は私自身も保護者の立場にあります。保育所からの連絡が紙ではなく、スマホに届くのは便利ですよね。おたよりや重要なお知らせのプリントを紛失するというリスクもありません。
3歳未満児の場合は毎日連絡帳のやりとりがありますが、お子様が小さいご家庭では落ち着いて書く時間さえも煩わしいと感じたり、負担に感じると聞いています。今ではコドモンにより料理を作りながらアプリで入力して完了というような使い方をされている保護者もいるようです。保育所とのやりとりが便利になったと保護者の反応もいいですよ。
倉澤さま:私はこの部署に来て3年目になりますが、自分自身が保育所に通っていた時代となんら変わらないような環境で先生方は仕事をされているんですよね。手書きでの報告書や週案など、昔と変わっていないという衝撃がありました。その一方で、受け入れる子どもの数は増え、業務は以前より高度化して細かいところまで記録を取らなければいけなくなっていて、現状に合っていないと感じました。当時の上司も状況をよく理解されていたので、こうしてICT化を進められています。
保育所の先生方は、子どもを預かって事務作業をして、あっという間に一日が終わってしまうという忙しい状況にあるので、コドモンを活用することで何か新しいことを考えたりするような時間の余裕が生まれればと思います。
倉澤さま:1点目はすべての公立保育所への展開です。今勝山保育所で使っている機能は他の園にも広げたいと思っていて、保育所間での差をなくしていこうと計画しています。
2点目は、妊娠期から小中校生まで子育て世帯全体を通した、包括的なサービスをICTを活用して実現していきたいと思っています。コドモンの機能を活用すれば、私たち役所から保護者への連絡が直接できるので、子育て支援に関わるサービスの発信場所や相談窓口としても活用できたらなという想いもあります。
また、平成30年に保育指針が10年振りに改訂されましたが、その指針の中で取り組めていないものがあるのが現状です。そういったことを新しく始められるような環境を、コドモンで空いた時間を使ってつくっていければと思っています。
富士河口湖町は微増ではありますが人口は増え続けていて子育て世帯の割合も多く、保育施設を利用する方も多い状況です。一方で保育士不足の影響で従来やっていた手厚い保育が圧迫され、保育士は毎日のローテーション業務でスケジュールが埋まっているという現状があります。自由工作の遊びなど、子ども一人ひとりに時間をかけられる時間的な余裕をコドモンを使って取り戻せればと思っています。